長引く痛みの患者には大きな原因が同定できなくても、①神経障害や感作などの神経の機能的な変化に②精神心理的な要因が相まって、大きく患者を苦しめているケースが多いです。

① の病態がある場合に、しばしば同時並行的に出現する感覚障害(痛覚、触圧覚、振動覚など)や運動障害の存在は薬物療法のみならず運動療法を通じたADLの改善の障害となります。
② また、痛みセンターを受診される患者は複雑な病態を持っており、しばしば②の存在がクローズアップされると①の神経メカニズム的な要素の存在が軽視されることが多く治療方針にも影響します。

痛みセンターの外来レベルで行うことができるプレッシャーアルゴメーターなどによる簡便な神経・筋の神経機能の評価ができることで末梢中枢感作の有無などが明確化できます。また、簡易のQSTやIntradermal Electrodeを用いた神経伝導検査、誘発電位検査を行うことで痛みに関与する小径線維と大径線維を区別して客観的に末梢神経の麻痺の有無や中枢までの神経伝達状態を把握することができます。

これらを用いて病態を多面的に分析することで、上段にあげた慢性疼痛患者の病態をより正確に客観的評価が可能となります。その結果、治療法の選択や治療の効果判定に用いられるため慢性疼痛の治療がより洗練化されることが期待できます。

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